「民族混融の音楽COCO」

 ブラジル北東部のアラゴアス州で生まれ、やがて北東部一帯にまで普及したブラジルの最も大衆的なフォルクローレの一つにコーコ(COCO)というものがある。もともとコーコの発生については17Cごろに北東部の黒人達がココナッツの実をたたいて演奏しながら気晴らしに歌ったことから始まるといわれている。
 一般的なコーコは男女がいっしょに輪になって中央に一人歌い手を囲み、集団で歌ったり踊ったりする。コーコの詩は日頃の生活や世の中をコミカルに風刺したりするようなものもあり、非常におもしろい。また踊り手に別の人を誘うといった際に、アフリカ起源のウンビガーダ(UMBIGADA)と呼ばれるへそとへそをくっつけ合うといったおもしろい動作をする。コーコは使う楽器や種類によっていくつかに分けられるが、一般的によく使われる楽器としてはシンプルに手を叩くといったもの、パンデイロ、クイーカ、ガンザー、アタバキなどがある。コーコではコッケイロ(COQUEIRO)と称される楽器を使いながら中心になって歌う人の歌にあわせてみんなが歌詩を繰り返したり、声をそろえて歌ったりする。
 上に述べたようにコーコはアフリカ色の大変強いブラジルならではのフォルクローレといえる。しかしその影響はアフリカのみに限らない。コーコの踊りの特徴にはインディオ(特に沿岸部のトゥピ族)の踊りの影響が見られるし、またマリオ・ジ・アンドラージはポルトガルにもコーコの踊りに近いものがみられるという。たしかにブラジル北部の音楽にはポルトガルの影響が色濃く見られる。
 独特の速いリズムにコミカルな詩をのせて踊るコーコ。その最大の魅力は音楽・詩・踊りの3つの絶妙なハーモニーからくるのではないだろうか?コーコ一つとってみても様々な人種間の混交によって生まれたブラジルの音楽。この音楽を通してブラジルの内に潜む社会的背景までうかがい知る思いがする。

研究員 青木義道

 

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