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4.ビッショ宝くじ
『ビッショ』というポルトガル語の意味は広範で、地上の生物のうち、小はミミズから大は象、今流行の怪獣も含まれる。街で親しいブラジル人から「コモ ヴァイ ビッショ?(やあ、こんにちは)」と挨拶された。『ビッショ』の意味が解せぬ。社に戻ってポ和辞典をひいて、くだんの日本商社マンは怒髪点を衝いた。
「俺はシラミか!」
ブラジル俗語では親しい同士の二人称、別段ストレスを募らせることもない。
ところで表題の宝くじのことだけれども、この一億数千万全ブラジル庶民の血を沸かす一大夢の饗宴の仔細について筆者もきわめて不案内。ブラジル通の老畏友に、ダメとは思ったが一応たずねてみた。日本では三文博打も厳禁するくせに、ギャンブルの中に天皇賞を掲げるやつもあるのは何事か?と、また碩学南方熊楠翁の説を持ち出して一席弁じ、この宝くじに関するブラジルの文献を貸してくれた。以下これに準ずる。
かつてリオ・デ・ジャネイロのドゥルモンド男爵なる仁が一動物園を経営。その運用資金の一助にビッショ宝くじを始めた。入場券に二十五種のビッショを各枚一種書き込んで売った。まず1はだちょう、次々に鷲、ラバ、蝶、犬、牝山羊、羊、ラクダ、蛇、兎、馬、象、雄鶏、猫、鰐、ライオン、猿、豚、孔雀、七面鳥、牡牛、虎、熊、鹿ときて牝牛で終わる。「豚は?」と聞けばよどみなく「18!」、「20は?」「七面鳥」と答える。親の年など知らずともビッショの番号は脳髄のひだに刻まれる。
主幹 田所清克
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