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「赤い実の夢」
白い花を咲かせて赤い実をつけるコーヒーの木。ブラジルにクラシフィカドール(コーヒー鑑定士)という職業があることを知った日から私の夢は歩き始めました。
情報収集に専念した一年目。小さな手がかりを見つけたとき、海を渡れるかも、と思いました。解決しなければならない様々なこと、言語や生活習慣、治安面など、ブラジルについて学んだ二年目。そこで出会った何人もの人の力を借りて三年目の昨夏、必要な手続きを全て済ませて私は単独で海を渡りました。コーヒーを扱う商社で働いていたことがあり、鑑定士の資格が欲しいと思ったのも事実ですが、現場を見たいというのが本音でした。
現地サントスに着いてみると、受講者はスペイン人の女性が一人と私のほかは皆企業から派遣された男性です。自分の無謀さにあきれましたが、黙って送り出してくれた家族への気持ちと周囲の人々のサポートが遠い国へのひとり旅をささえてくれました。カップテストと講義の五週間。でも週末には農園などにも足を運びサントスを拠点に移動距離千マイルと滞在日数約五十日、赤い実の夢はかないました。女性の鑑定士はクラシフィカドーラと呼ばれるそうで日本ではまだ数名だそうです。
あれから一年、広大なコーヒー農園の風景が私の中でいつまでもながーく澄んで消えないでいます。
※なお、この文章を手を加えたものが2001年6月15日(金)の朝日新聞に掲載された。
研究員 玉川裕子
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